真珠の加工卸販売業の営業はどんな仕事?値段が分かれば一人前

真珠に興味があり、真珠業界に入って営業の仕事をしてみたいと考えておられる方に向けて記事を書きました。

真珠の卸販売での営業の仕事は大まかに言えば、真珠の仕入れと販売です。仕入れ、販売におけるさまざまな注意点について、内容がイメージできるように分かりやすく解説しました。ぜひ読んで参考にしてください。

真珠を見る目が最も重要

真珠の営業の仕事をする場合、真珠を見てその品質と値段が分かるということが、どうしても必要なことです。それが分かるようになるには日々多くの真珠に接してよく見て、目に焼き付けて覚えていくことが大事だろうと思います。

真珠の品質というのはいろいろ見ているうちに、だんだんと微妙な違いが分かってくるものです。値段はサイズや品質によっていろいろあって、すべてを覚えるのは大変だろうなと思われるかもしれませんが、値段を知るためのコツというのがあります。

真珠の取引では、重さの単位として匁(もんめ)を使います。

1匁は3.75gに相当しますが、この1匁当たりの真珠の値段がいくらか、ということを常にまず最初に考えることが、そのコツです。なぜなら匁単価が分かれば、その真珠がネックレスであっても、片穴(バラ珠)であっても、その1本、1個の値段は簡単な計算ですぐ出せるからです。

ネックレス1本の値段の出し方

例えば7.5~8ミリのネックレスの場合で、その値段の出し方を説明します。

ネックレスを構成している一粒一粒の真珠をよく見て、仮に1匁当たり4,000円という価格の評価をした場合、7.5~8ミリのネックレスの重さは約9匁(下の表では9.3匁)ですから、1本の値段は4000×9で36,000円となる訳です。

真珠1個の値段の出し方

また同じ7.5~8ミリのサイズで、今度は1匁当たり4,000円の片穴(バラ珠)があったとしますと、7.5~8ミリの真珠の1匁当たりの個数は標準で5.4個ですので、1個当たりの真珠の値段は、4000÷5.4で740円と出てきます。

参考までに「ネックレス1本の目方の表」と、真珠の「1匁当たりの個数の表」を掲げておきます。

珠のサイズ(mm)ネックレス1本
の目方(匁)
  2~2.5  0.8
  2.5~3  1.3
  3~3.5  1.6
  3.5~4  2.2 
  4~4.5  2.9
  4.5~5  3.4
  5~5.5  4.3
  5.5~6  5.1
  6~6.5  6.2
  6.5~7  7.1
  7~7.5  8.1
  7.5~8  9.3
  8~8.5  10.5
  8.5~9  11.8
  9~9.5  13.2
  9.5~10  14.7
  10~10.5  16.5

ネックレスの長さは標準の16インチの場合の数値です。例えば10~10.5のネックレスなら表から1本の目方は16.5匁と分かる。1匁3万円の真珠なら1本の値段は30,000×16.5=495,000という計算により約50万円です。

真珠の直径(mm)1匁当たりの個数
2~2.5  220
2.5~3  120
3~3.5  73
3.5~4  47
4~4.5  33
4.5~5  23
5~5.5  17
5.5~6  13
6~6.5  10.2
6.5~7  8.1
7~7.5  6.6
7.5~8  5.4
8~8.5  4.4
8.5~9  3.7
9~9.5  3.2
9.5~10  2.7
10~10.5  2

8~8.5の片穴(バラ珠)で1匁15000円の真珠なら、表から1匁当たりの個数は4.4個と分かる。だから1個の値段は15,000÷4.4=3,409で3,500円ぐらいと計算できます。

上に掲げた二つの表の数値は、社内の壁に貼っておいて必要な時に参照するようにすれば良いです。ただよく使う6.5~7.0とか7.0~7.5のネックレスの1本の目方などは仕事をしていれば、すぐに覚えてしまいます。

また「1匁あたりの真珠の値段が大切」と言いましたが、この値段はサイズごとに異なっているし、勿論品質の上中下によっても違ってきます。さらに値段には相場があって変動もしますので、各サイズの品質ごとの値段はここでは示していません。

しかし毎日真珠のネックレスやバラ珠を数多く見て、値段もその都度チェックし、大まかで良いので頭に入れるようにすると徐々に分かってきます。数年もすれば各サイズのいろいろな品質の真珠の値段が、大体分かってきます。

仕入れでの注意点

営業の活動というのは、結局仕入れ販売、この2つです。

仕入れ先と販売先は全く別とは限らず、同じになることもあります。仕入れ先に対して販売したり、売り先から真珠を仕入れるという事もあり得ます。昔の人は、そのような往復の商売のことをノコギリと言っていました。売ってもうけて、買ってももうけることから、このような言い方をするのだと思います。

しかしここでの説明では仕入れと販売を分けて説明します。

まず仕入れの際の注意点ですが、原珠(養殖されたばかりの未加工の真珠)の仕入れについては、このサイトの別記事「アコヤ真珠加工業は仕入れが重要!値段の評価方法を詳細解説」に詳しく書いています。原珠の仕入れは年に1度、12月~2月ぐらいまでの2~3カ月間だけの加工業者としてのビッグイベントです。

しかし他社の製品を仕入れることは、1年を通じて行われる仕事ですので、ここではネックレスや片穴という製品の仕入れについて書きます。

会社に顧客から製品の注文が来て、その商品が自社にはなくて、他社を探さなければならないとします。他社に行ってその商品が見つかれば売れる可能性は出てきますが、顧客に見せたとき、必ず買ってもらえるかどうかは分かりません。だから、その商品を見つけたときにすぐに仕入れてしまうと、余計な在庫を抱える可能性もあります。

そういう場合、その商品をその会社から一時貸してもらうことができれば、顧客に見せて売れた後で仕入れをすればよいし、売れなかったら相手に謝って商品を返せばよい。つまりリスクはないということです。このような商売を「委託商売」と言います。

ただ、借りた商品を売れなかったからといって、全部返すのは貸してくれた会社に申し訳ないとして、一部だけ買うことがあります。こういう仕入れを「義理買い」と言っています。必ずしなければならない訳ではないですが、そうしないと次回また同じ会社から商品を貸し出してもらう際に、頼みにくくなるということがあるからです。

それに対して注文に従って他社を回り、商品を見つけたときそれが自分の顧客に売れる保証がないまま、その商品を思い切って仕入れることもあります。この商売は「仕切り商売」と言っています。

買う側は多少リスクを抱えているのだから、値段を少し下げてもらえるかどうか、その商品をもっている会社の営業の人と交渉します。相手の営業の方も、委託として貸し出しても売れるかどうか不確かなままより、少しの値引きに応じることで、その場で売れてすぐ売上になる方が良いと判断する場合もあります。

仕切り商売では仕切る側(買い手)が安く買うことで、利幅が大きく取れる可能性があります。

さらに注文がなくても、それまでの顧客の注文状況から判断してこういう商品なら仕入れておけばいずれ売れるだろうという見込みで仕切り商売をすることもあります。これは「見込み仕切り」と言っています。この場合が最もリスクが大きくなりますが、利幅も値引き交渉によって大きく伸ばせる可能性があります。

真珠の卸商売では、このような委託商売と仕切り商売とを取り混ぜて、日々取引をしています。委託が良いか、仕切りが良いかはその時々の売り手と買い手の判断で決まります。

販売での注意点

商品を顧客に見せてすぐに商談が成立し、仕切り商売ができた場合には問題がないが、委託商売になる場合に少し注意が必要です。

委託販売での注意点

顧客はこちらの商品の仕切りをしてくれる場合と、委託で借りたいという場合がありますが、私の経験からすると仕切りよりも委託商売になる場合が多いです。

委託販売となる場合はまず、委託期間、つまり貸出期間に注意が必要です。あまり長期間、例えば1カ月とか2カ月とか商品を借りたいと先方が言った場合、全部売れるのなら良いが、結局ほとんどの商品が売れないということもあるので、顧客と良く話し合って、極力委託期間を短くしてもらうことが大切です。

通常なら1週間程度で返却、整理してもらうべきです。

また注文の商品が片穴(バラ珠)の場合は、その商品を貸し出した先の会社で、他の珠が間違って混じった場合、選別して元通りにするのはほぼ不可能です。そういうトラブルを避けるために、片穴は貸し出しをしていないという会社もあります。ですから片穴を貸し出しする場合は、よほど信用のおける顧客に限ってすべきでしょう。

新規顧客の開拓

ここまでの販売の話は既存の顧客との商談についてでしたが、営業として新規の顧客開拓をするのも、売上げを増やすために重要な仕事です。この場合は既存の顧客からの紹介で行くケースが多いと思います。まったく誰からの紹介もしてもらうこと無しに、何かの名簿などを元にして行く新規開拓のことを、「飛び込み営業」などとよく言われていますが、これはなかなか成功する可能性は低いでしょう。

また真珠製品の入札会に所属していれば、その会場での雑談などから、新規の顧客と出会い、商談が始まることもあります。会場に来ている業者は会場で入札する以上は、支払い能力はあるはずですし、一応一定以上の信用力はあるとみなせるので、お互いに話はしやすい訳です。

真珠製品の入札会も仕入れ、販売の一つの方法

真珠製品の入札会に入会しておけば、入札会に自社のネックレスや片穴を出品して売れるかどうか試したり、逆に出品商品を入札によって購入もできます。

販売の場合は、入札会事務局の方へ売上の2~3%の手数料(歩金と言います)を払う必要はありますが、販売機会の一つとなっています。

仕入れる場合は、当然「真珠を見る目」が必要になってきますが、多くの商品を見ることが出来るので重要な仕入れの機会と言えます。支払条件はそれぞれの入札会の会則に従いますが、大体現金が多くなっています。

販売の最終段階は支払い条件の取り決め

顧客と品質や値段、委託期間などいろいろな交渉を経て、やっと売上につながったとしても、売上金の回収という最後の大事な仕事がまだ残っています。支払条件に関して売り手と買い手の合意ができないために、せっかく商談してきた話もダメになることもありますので、取引の早い段階で支払条件の話し合いはしておくべきです。

真珠業界では昔は手形取引や、3~4カ月後の支払いということも多かったのですが、近年は現金に近い、1カ月以内に支払うなどの条件が普通になりつつあります。それは過去に支払いが伸ばされたりとか、受け取った手形が不渡りになったとか、そういうトラブルを通してお互い支払いは早めにしようという共通の認識が生まれてきたためかもしれません。

だから結論的には支払い条件は、初回は現金、2回目以降は「月末で締めて翌月末の支払い」ぐらいの短期間での精算という取り決めをして商売するケースが多くなっています。

以上が真珠の卸販売での営業の仕事内容です。

まとめ

  • 営業で一番大切なことは「真珠を見る目」を養うこと。
  • 仕入れで商品を委託で借りた場合、たとえ売れなかった場合でも、少量の義理買いを時々するようにした方が良い。
  • 真珠を見る目が出来てきたら、「見込み仕切り」をして、利幅を広げることも少しずつやっていくべき。
  • 委託販売では貸出期間をなるべく短くしてもらうよう交渉する。
  • 取引先からの紹介があれば新規開拓も積極的にした方が良い。
  • 真珠製品の入札会の会場でも新規顧客につながる会社はないか、探す努力もすべき。
  • 新規顧客に販売する場合は、支払い条件の話し合いを、取引の早い段階でするようにする。

営業という仕事は最終的に売上金を回収できて完結するものなので、顧客の支払いに遅れがないかという事にも日頃から注意をしておくことも大切です。

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