グレーや黒のアコヤ真珠、染色ものは色落ちしない?黒真珠はいつ使う?

よく「黒真珠」と呼ばれる真珠の中で日本産アコヤ真珠ではグレー、ブルー、黒の3種類の真珠がありますが、実は天然の色と染色された色とがあり、それぞれについて色落ちや変色など品質の違いはあるのかどうかを解説します。

アコヤ以外の南洋真珠、タヒチ真珠の場合でもまずどんな色があり、染色ものがあるかどうかや、ゴールドの場合の注意点も解説しているので購入の際の参考にしてください。

また、黒真珠については購入後のよくある悩み「いつ使うのか」についても販売者の経験からお話ししたい。黒真珠と言っても、イメージされるのは黒だけではない

黒真珠というと、一般の方がイメージされている色目は、黒だけではなく、グレー、ブルーの場合もあります。だから業者の側も、グレーなのかブルーなのか、それとも黒色なのかを必ず問い返す必要があります。

私自身、一般の方からの注文で黒のネックレスを作って欲しいという話があったとき、真っ黒の染めの真珠をお見せしたら、「これではなくて、薄い紺色のような色の真珠ってあるんでしょう?」と言われました。そこでブルーの真珠をお見せしたら、「ああこの色です」ということでした。

だから一般の方は黒、グレー、ブルーの3色の真珠を総称して、黒真珠と言っていることが多いです。なぜそうなるかと言うと、通常の白とか淡いピンク色の真珠に対して黒、つまり白でない真珠と言う意味で黒真珠という言い方をしているのだと思います。

ちなみに業者間の取引の場合には、誤解が出ない様に、黒、グレー、ブルーと色を指定するようにして、黒真珠というあいまいな言葉は使いません。

アコヤ真珠では天然で黒色のものはありません。だから黒色の真珠を指す言葉は「黒染め」という場合が多いです。

また、グレーは「ナチュラルグレー」か「染めグレー」、同様にブルーは「ナチュラルブルー」か「染めブルー」という言い方ではっきり区別して取引をします。

グレー、ブルーの真珠

グレー、ブルー、黒と3色ある内の先ずグレーとブルーについては、天然の色と染色された色とがあります。

天然のグレーやブルー

アコヤの養殖真珠の場合、アコヤ貝から真珠を取り出した時点でグレーやブルーの色をしていることがあり、これを「ナチュラル」と呼んでいます。この「ナチュラル」の出現率は低いので希少性があり、また非常に綺麗な色合いなので、高価となっています。

染色されたグレーやブルーの真珠

ナチュラルに対して、染色されたグレーやブルーの色の真珠も作られています。

見た目にはナチュラルのグレーやブルーに近い色合いが出ています。これらの色の真珠は2段階の染色加工によって色合いを出します。

まず最初の1段階目の加工は、「コバルト60によるガンマ線照射(以降、コバルト照射とします)」という放射線を使った加工方法です。主にクリーム色やグリーン系の真珠にその加工をすることで、グレーやブルーに色が変化します。クリームやグリーン系の色の真珠はあまり好まれる色ではないため、より需要のあるグレーやブルー系の色に加工するのです。その第一段階のコバルト照射で綺麗なグレーやブルーになれば、それで完成とします。

放射線というと何か怖い感じで、危ないのではないかとご心配される方もおられるかもしれませんが、コバルト照射は真珠を強い放射線が通過することで変色させる加工なので真珠自体には放射線は残らず、危険性は全くないのでご安心ください。多くのトパーズやブルーダイヤといった宝石でも同じ加工がされています。

1段階目の加工をしても色が不十分であれば、さらに次の工程として染料による染色加工に入ります。染色加工まですれば、大部分の真珠はグレーやブルーの色になります。

「黒」の真珠

グレー、ブルーでは「ナチュラル」(天然の色)と、染色ものとがありましたが、黒色はアコヤ真珠では天然には無く、すべて染色ものとなっています。

染色方法はグレーやブルーの時と同じく、主にクリーム色やグリーン系の真珠に、まず第一段階でコバルト照射をして、グレーやブルー系の色にします。この段階で、グレーやブルー系ではなく、ややグリーン系の色の珠が出てくることがあります。そういう珠を黒染めにした場合、若干グリーンの入った黒色、この色はピーコックカラーと呼ばれて、高品質のタヒチ真珠と似た色合いで人気が高いです。

それでコバルト照射した珠に、今度は第二段階で黒くなる染料による染色加工を施します。色としてはタヒチ真珠の黒色を目指して染色加工されます。

ここではアコヤ真珠を中心に解説させていただきましたが、南洋真珠にもグレーの真珠がありますし、ゴールドもあります。しかしメインは白です。

タヒチ真珠には黒やグレー、そしてちょっと珍しい色でチョコレート又はショコラという色(チョコレートのような色)があります。グリーン系のピーコックカラーは希少でかなり高価となっています。それらはほとんど全て天然の色となっています。(ショコラは染めが多いです。)

(南洋真珠、タヒチ真珠で染色ものは稀ですが、たまにあるので購入の際には、「この真珠は天然物の南洋真珠ですね」、とか「染め物ではないですね。」とはっきりと言って、よく確認することが大切です。特に南洋珠のゴールドカラー、つまり金色の珠は人気があり天然物が少ないせいもあって、染めたゴールドが結構出回っています。ただその品質、つまり変色や色落ちなどは加工技術が良くなっているので、ほとんどその心配は不要です。)

染色ものでも変色、色落ちなどの心配は無いか?

グレーやブルーなどの色の入った真珠は、天然ものと染色ものがありますが、結論から言いますと天然ものよりも染色ものの方が後の色の変化は少ないと言えます。

最近の加工技術の進歩で染料の堅牢度が非常に良くなっているので、何年か後に色が変わる心配は先ずないと言えます。黒についても同じです。そしてグレー、ブルー、黒どれも色落ちの心配はする必要が無いです。今までに色落ちしたというクレームは聞いたことがありません。

そして高価な天然物のグレーやブルーの真珠については、アコヤガイの体内からの分泌物によって見えている色なので、かえってその成分が日光による漂白作用などを受けて、若干の褪色(退色)がどうしても免れません。ですので5年、10年と経ちますと天然ものでは、購入時よりも若干色がさめた感じになる場合があります。

私が取引していた宝飾品の小売り業者さんから、ナチュラルのネックレスを販売した後、年数がたった後にお客様から、グレーやブルーの色が薄くなったという苦情を言われたことがある、という話を聞いたことがあります。ナチュラルの真珠は使われた後は、軽くお手入れ(タオルで汗を拭きとっておく)をしたら、直射日光の当たらない場所に保管して、少しでも褪色が起きないようにされることが大切です。

グレーや黒のアコヤ真珠は、いつ使う?

お葬式に使われるなら黒、グレー、ブルーどれもOKです。やはり黒真珠はお葬式用というイメージが強いですね。ただし黒真珠であっても、2連のものは不幸が重なるという意味を嫌うので控えましょう。また長いロングネックレスや9ミリ珠以上の大きい真珠、そしてイヤリング、ピアスも派手になるので控えた方が良いです。

結婚式の場合、黒真珠ではおめでたいというイメージが出しにくいので、使わない方が良いです。

カジュアルやパーティーには黒真珠を衣装との取り合わせで、おしゃれさが出るように使われれば良いでしょう。

まとめ

  • アコヤの黒真珠には、グレー、ブルー、黒の3種類の色がある。
  • アコヤの黒真珠でグレーとブルーの真珠は「ナチュラル」ものと「染色」ものがある。
  • アコヤで黒の真珠はすべて染色ものである。
  • 染めのグレー、ブルー、黒の真珠でも後々での変色や色落ちはほとんどなく、天然ものは丁寧な保管により褪色を防ぐことが大切。
  • 黒真珠をいつ使うか?お葬式だけでなくカジュアルにも使える。

黒真珠と一口に言っても様々な種類があります。

「ナチュラル」はその希少性のためにどうしても高級品となりますが、その美しさは染色ものを上回ります。なぜなら様々な加工を一切していないために真珠の表面が荒れずに照りがとても良いからです。

アコヤの黒の真珠の色合いはタヒチ真珠に似せた感じで、そのサイズはタヒチよりも細目で値段はタヒチよりも安価となっています。

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